離婚したら養子縁組した子どもの立場や権利はどうなる?

こんにちは、函館市の行政書士 小川たけひろです。

離婚後、良い縁を得て、再婚する方も多いことでしょう。

再婚相手に子どもがいれば、養子縁組する方も少なくないと思います。

しかし、もしもその再婚相手と離婚することになった場合、養子縁組した子の立場や権利はどうなるのでしょうか。

養子縁組制度には、一般的に活用されている「普通養子縁組」と、特別な事情がある場合に活用される「特別養子縁組」という2つの養子縁組があります。

この記事では、広く一般的に活用されている「普通養子縁組」(以下「養子縁組」という。)の場合の離婚について解説いたします。

再婚したら、子どもの戸籍と苗字はどうなるのか

母親が再婚するとその母親は自動的に再婚相手の戸籍に入りますが、子どもは、再婚相手と養子縁組をしない限り、再婚相手の戸籍に入ることができません。

そのため、養子縁組手続きを経て、子どもは、再婚した相手の戸籍に入ります。その結果、養父とその子は法律上の親子となり、養親の苗字になります。

離婚したら養父と子の関係はどうなるのか

では、母親と再婚相手の養父が離婚することになった場合、夫婦間は、「離婚届」を提出することで夫婦ではなくなりますが、養親と子どもの関係はどうなるのでしょうか。

離婚しても、養子縁組は当然には解消(離縁)されず、手続きが必要となります。

具体的には、協議(話し合い)による離縁の場合には、「養子離縁届」を市町村役場に提出することにより解消されます。また、調停で離縁が成立した場合には、裁判所で作成された「調停調書」の謄本、審判で離縁が成立した場合には、「審判書」と審判が確定したことを証する「確定証明書」を役所に持参し、それぞれ離縁届を一緒に提出することで養子縁組が解消されます。

調停や審判によっても離縁が成立しなかった場合には、裁判による解決となりますが、裁判の場合には法律で認められる理由、例えば「悪意の遺棄」、「養親の行方が3年以上不明な場合」、その他「養子縁組の継続が著しく困難な重大な事由がある」などの理由が必要になります。

「離縁」が成立すると子の戸籍はどうなるのか

離縁の当事者は、養父と養子(養子が15歳以上であれば本人、15歳未満のときは離縁後の法定代理人)であり、離縁が成立すると、親子関係は解消され、養子は養父の戸籍から離れ、前の戸籍に戻るか新しく戸籍を作ることになります。苗字も養子縁組前の苗字に戻ります。

ちなみに、離縁はあくまで養子縁組による親子関係を解消させるものであり、実際に血の繋がりのある、実親子関係において離縁を行うことは当然ながらできません。

離婚後、養子縁組した子どもに養育費を支払う必要があるか

では、離縁が成立した子どもに養育費を払う必要はあるのでしょうか。

養育費の支払い義務は、法律上の親子関係が認められる場合に生じます。

そのため、離婚の際に、離縁届を提出していなければ、養父と子どもは、依然として法律上の親子関係にあり、扶養義務も継続しているため、養育費を支払う必要があります。

しかし、養子縁組を解消すれば、法律上の親子関係も解消されるため、扶養義務はなくなり、養育費を支払う必要はなくなります。

養子縁組における離婚と相続について

では、離婚後、養親が死亡した場合の相続はどうなるのでしょうか。

相続の場合も養育費の場合と同様に、養子縁組を解消していなければ、法律上の親子として扱われるため、子どもは被相続人(亡くなられた方=養親)の法定相続人となり、その財産を相続することができます。

しかし、養親に他に子どもがいた場合、相続財産を巡ってトラブルになることがあります。

また、相続に関しては、養子縁組をして養父と法律上の親子関係になったとしても、実父との縁が切れるわけではありません。そのため、養父、実父の双方から財産を相続することができます。

まとめ

養親と子どもとの関係は、離婚届を提出しただけでは解消されず、養子縁組を解消する手続きが必要になります。

この手続きをせず、養育費の支払いを請求されたり、養親が死亡したときに、子は法定相続人となるため、相続財産を巡って他の相続人とトラブルになることがあります。

こういったことから、離婚時に養子縁組の解消を希望することが一般的なのですが、相手方から同意を得られないケースが多く、当事者だけでの話し合いで解決できず、調停や審判にまで進んでしまうこともあり時間もかかります。そして、その間に養親が亡くなり養子が相続人として確定してしまい、他の相続人との間でトラブルになってしまうこともあります。

そのため、離婚を考えている場合には、養子縁組をどうするかについても、しっかり話し合っておくことが大切です。

当事務所では、養子縁組解消について、離縁に関する合意書や離縁の申し入れについて内容証明を作成・郵送を承っております。