養育費に税金ってかかるの? 知っておきたい養育費と税金の関係

こんにちは、函館の行政書士 小川剛弘です。
子どもがいる夫婦が離婚する場合、養育費の取り決めをすることが多いと思います。
養育費は食費、医療費など子どもが成長するうえで欠かすことのできないお金です。
でも、養育費をもらっていることで「養育費に税金はかかるの?」と疑問や心配に思う方もいらっしゃると思います。
この記事では、養育費と税金の関係についてまとめてみました。
養育費とは?

養育費とは、子どもを育てていくうえで必要な費用のことをいいます。養育費には、食費、医療費など、子どもが生活をしていく上で、必要になる全ての費用が含まれます。
ここで、注意しなければいけないのは、養育費を、子ども引き取って育てている監護親が、自分の欲しい物の購入や自分の趣味に関することなどに遣ってはいけないということです。
養育費の支払義務は子どもが最低限の生活ができるための「生活扶助義務」ではなく、それ以上の内容を含む「生活保持義務」とされています。生活保持義務は、自分の生活を保持するのと同じ程度の生活水準を、扶養を受ける者(=子ども)にも保持させる義務のことをいいます。
つまり、養育費は子どもと離れて暮らしている方の親(=非監護親)が暮らしている水準と同様の生活水準を保てるように支払っていく義務があるということです。「生活が苦しいから払えない」という理由で支払義務を免れるものではありません。
養育費に「所得税」はかかるの?

養育費は給料と同じように毎月受け取ることが多いので、子どもを引き取って育てている監護親としては、養育費が「収入」としてみなされ、課税対象になるのではないかと心配する方もいらっしゃいます。
しかし、養育費については、原則として、所得税はかかりません。
所得税は個人の所得に対してかかる税金ですが、養育費はあくまでも「子どもが生活していくために必要なお金」であり、監護親の所得ではないからです。もちろん、確定申告をする必要もありません。
上述のとおり、養育費は所得税が課税されないのが原則です。
しかし、社会通念上相当でない金額の養育費が支払われた場合や養育費を”子どもの養育以外”に使った場合などには、所得として扱われるため、贈与税の課税対象になります。
たとえば、養育費を一括で受け取った場合などは課税対象となることがあります。子どもが成人まで必要な養育費となれば、その金額も多額になることが多いため、そのお金を銀行に預金した場合、それが本当に子どもの養育のためのお金なのかどうか、非常に曖昧になってしまいます。このため養育費を一括で受けとった場合には、原則「課税対象」として扱われます。
また、受け取ったお金を株やマイホームの購入資金に充てたりした場合などには、子どもの養育以外に使われたため、所得として扱われ、贈与税の課税対象となります。
養育費に「贈与税」はかかるの?

養育費を負担するということは、自分の子どもに対する扶養義務を根拠にしています。離婚によって子どもを引き取らなかった方の親(=非監護親)側から、子どもを引き取って育てる方の親(=監護親)に対して支払われるのが養育費です。「扶養義務」から支払う性質のお金なので、そういったお金に課税するのはいかがなものだろうかという考えから、贈与税課税の対象外となっています。
ただし、贈与税の課税対象になるケースがある
上述のように、毎月受け取る養育費に関しては、贈与税がかからないという認識で良いのですが、養育費の受け取り方によっては贈与税課税対象となる場合もあります。
相続税法上において養育費は、「通常必要と認められるもの」であれば課税対象になりません。しかし、「通常必要と認められるもの」以外に関しては、贈与税の課税対象になるとされています。
「通常必要と認められるもの」以外とは、どんなことが考えられるかというと、たとえば、養育費を一括で受け取った場合などは課税対象となることがあります。
子どもが成人まで必要な養育費となれば、その金額も多額になることが多いため、そのお金を銀行に預金した場合、それが本当に子どもの養育のためのお金なのかどうか、非常に曖昧になってしまいます。このため養育費を一括で受けとった場合には、原則「課税対象」として扱われます。
必ずしも贈与税がかかるとは限らない
しかし、養育費を一括で受け取った場合に「通常必要と認められるもの以外のものとする」という見解は、法律で定められているわけではなく、子どもの年齢や状況など諸事情を考え、子どもの養育費として適切な範囲内であれば、贈与税を課さないとする場合もあるようです。
したがって、よほど常識的に考えて多額の養育費を一括で受け取る場合以外は、贈与税については課税されないケースがほとんどだと考えられます。
一括で受け取った養育費を課税対象にしないようにするには
一括で養育費を受け取った場合は、養育費を預貯金ではなく、月々受け取るという形に変更することで、課税対象外にすることができます。
例えば、受け取った養育費を信託銀行などに全額預けて、そこから毎月受け取るようにすると(養育信託)、通常の養育費と同じ扱いになります。
認知されていない子どもの養育費は課税対象になる場合も

養育費は「子どもに対する扶養義務」として扱われるため基本的に課税対象にはなりませんが、認知されていない子どもに対する養育費の場合、課税対象となる場合もあります。
血の繋がった親子といえども、認知されていない子どもと父親は、法律上他人として扱われるため、”他人から養育費を受け取った”とみなされ、課税対象となってしまう可能性があります。
近年は、法律婚という形式を取らずに子どもを出産する女性も増えてきていますが、こういった方は、一度、税務署などに相談してみることをおすすめします。
まとめ
この記事では、養育費と税金の関係について解説しました。
養育費は、所得税の課税対象とはなりません。贈与税についても、よほどの事情や状況でなければ通常は課税対象とはならないと考えてよいでしょう。
ただ、課税対象になるかどうかを判断するのが難しいケースも多いと思います。
そのため、課税対象になるか判断ができない場合には、専門家にご相談することをおすすめします。
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