死後認知された子どもの相続 

こんにちは。函館の行政書士 小川剛弘です。

被相続人(亡くなった人)と内縁関係にあった相手との間に生まれた子や、愛人関係にある男女の間に生まれた子、いわゆる「非嫡出子」も被相続人の子であることに変わりがないことから、相続権が認められると思われがちです。
しかし、民法では非嫡出子について当然に相続権を認めてはいません。

では、非嫡出子が相続するためにはどうすれば良いのでしょうか。

認知された子が相続できる

非嫡出子に相続権が認められるためには、「認知」という手続きが必要になります。

認知というのは、婚姻関係にない男女間に生まれた子と父親との間に法律上の親子関係があることを確認する手続きのことです。認知は、父親本人が存命中、その意思によって、認知の届出や遺言により行うのが原則です。

しかし、父親が認知に協力的でない場合や、認知する前に父親が死亡してしまった場合などには、非嫡出子の権利を保護するため、「認知の訴え」を提起することが認められています。

そして、認知を受けた子は相続人として認められることになります。

この点、母親と子の親子関係については、出生の事実によって親子関係があることは明白なので、被相続人が母親である場合の相続については認知という手続きは不要です。

認知を受けた子は、実子(嫡出子という)と同様に、親の財産を相続することができます。相続分については、かつては、実子の半分でしたが、民法が改正され、実子と同等の割合で相続できることになりました。

死後認知を受けて相続人となる

そして、被相続人である親が死亡した後に認知された子の存在が相続の場面でしばしば問題になることがあります。繰り返しになりますが、生前に父親が認知をしていない場合、婚外子は父親の財産を相続できません。

しかし、死後認知の訴訟を提起して家庭裁判所から認められれば、非嫡出子は生まれた時にさかのぼって実子(嫡出子)となり、父親の財産を相続することができます。

父親が生きている間の認知には時効がありません。出生から数十年経過していても、認知の訴えを提起することは可能です。ですが、死後認知には3年という期間制限があります。父親が死亡してから3年経過すると、死後認知の訴えを提起することはできません。

たとえ父親の死亡を知らなくても、死亡の日から3年経過すると死後認知の訴えはできなくなります。

認知された時によって遺産分割の扱いが変わる

こうして認知された子は相続人として認められることになるのですが、認知された時点で、遺産分割が終わっているか未了かによって、扱いが変わってきます。

遺産分割が未了の場合

認知によって法律上の親子関係が発生することになりますが、認知の効力は出生のときにさかのぼって生じるとされています。そのため、たとえば、認知の時点で父の遺産分割が終わっていない場合、認知された子が遺産分割に加わらなければ、遺産分割の話し合い(協議)を進めることはできません。

また、死後認知を受けた子が未成年だった場合は、特別代理人を選任して、その代理人を含めた法定相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

遺産分割が終わっていた場合

相続財産について、不動産の名義変更や銀行預金の解約手続き等を行うなど、すでに処分が終わった後に、死後認知された場合、その認知を受けた子は、遺産分割協議のやり直しを請求することはできず、他の相続人に対して、認知された子の相続分に相当する金銭の支払いを請求できるだけになります。

なお、認知された子がいることを知っていたうえで、その子を除いて遺産分割協議を行った場合、には、その遺産分割協議は無効となるため、遺産分割協議をやり直さなければなりません。

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