金銭以外の財産分与はどうやればいいの?

こんにちは、函館の行政書士 小川剛弘です。
離婚時に取り決めることのひとつに財産分与があります。
財産分与は、結婚生活で夫婦が築き上げた共有の財産を分けることで、現金や預貯金などをイメージすることが多いかもしれません。しかし、結婚生活の中で築き上げてきた共有財産は現金や預貯金だけではありません。
不動産や自動車、家具や電化製品からペットにいたるまで、財産分与の対象になります。しかし、これらは分けることができません。結局、どちらが何を所有するのかを話し合いで決めることになるのですが、なかなか話しがまとまらないことも少なくありません。
それでは、お金以外の財産分与はどうやればいいのでしょうか。
基本的には現金に換算して評価する
現金や預貯金などは分与する割合が決まればそのまま分配することができますが、不動産や自動車など金銭以外のものについては、基本的にはその価値を現金に換算して評価することが多いです。
では、実際に財産の種類別に見ていきましょう。
不動産の財産分与
不動産については、売却して得たお金を分与する方法と、売却をしないで夫婦の一方が住み続ける方法があります。どちらの場合にも、不動産業者に離婚時点での評価額を算出してもらいます。
不動産を評価するには購入価格ではなく、時価でおこないます。時価は、不動産業者などに依頼し、査定書を作成してもらうという方法で、算定が可能です。また物件が高額で、その評価額が財産分与の重要なポイントとなるのであれば、費用はかかりますが、不動産鑑定士に依頼してより厳密な評価をする必要があるでしょう。
そして、売却した場合には、売却価格から経費を差し引いた残りを分け合います。また、売却せず夫婦のどちらかが住み続ける場合には、出ていく方に対して評価額の1/2を分与します。
しかし、住宅ローンが残っている場合には、不動産を売却するにあたり銀行など金融機関の承諾が必要なため、分与が難しい場合も少なくありません。
特に、ローンの残額が評価額よりも大きい、いわゆる「オーバーローン」の場合には、残債務を完済しない限り売却について、銀行などの同意を得られない場合が多いので注意が必要です。
動産の財産分与
動産の財産分与の対象としては、自動車や家具、電化製品などが主なものとして考えられるでしょう。これらのものについての評価についても、時価でおこないます。時価の算出にあたっては、専門業者やリサイクル市場などでの評価額を参考にしていくことになります。
自動車であれば、中古車の価格相場を参考にしたり、家具や電化製品などの財産も、できる限り中古の市場価格を参考に価値を算出します。しかし、値が付かなくなったり、性能や型式、見た目が古くなった電化製品や家具は、よほど希少価値のある物でない限り、売却しても大きな金額にはならないため、わざわざ査定しなくても、欲しい物を話し合いで決めて分配したほうが良いかもしれません。
実際には、厳密に時価を算出して現金化し分与することはほとんどありません。これら動産に関しては、夫婦間での話し合いの上、現物で分け合うことの方が多いと思われます。
有価証券の財産分与
有価証券の財産分与の対象としては、株や国債、社債、ゴルフ会員権などが考えられます。特に株式などは流動性が高く、常に評価額も上下し、売買も頻繁にされますので、どの時点でその価値を確定させるかについて、争いとなりやすいポイントになります。また、保有株式等が多ければ多いほど、評価のタイミングも重要となってきます。
基本的に、これら有価証券は、時期によって評価額が変動するため、通常は離婚成立時の評価額を目安にします。しかし、離婚前に別居をしていた場合は、別居が始まった時点での評価額を目安にする場合もあります。
分配方法としては、売却して売却益を分配するか、一方の配偶者が現物を保有して、相手方に時価相当額の対価を支払うなどの方法が考えられます。
生命保険・個人年金・学資保険の財産分与
生命保険
生命保険は、別居時の解約返戻金の額が財産分与の対象となります。この場合、保険料を納めている期間の方が結婚期間より長い場合は、その分を差し引いて計算します。
解約返戻金の額は、保険会社に問い合わせをするとわかります。その際は、別居時の年月日を保険会社に伝え、その時点での返戻金額が知りたい旨を伝えましょう。また、掛け捨て型生命保険の場合は財産分与の対象にはなりません。
また、一年間分などの保険料を前払いしているというケースがありますが、その場合は、前払い部分については財産分与の対象となります。
分配方法は、加入中であれば、解約して返戻金を分配するのが一般的ですが、生命保険を解約せずに継続し、受取人を配偶者(通常は配偶者が受取人になっている場合が多い)から子供や親族に変更することもあります。
個人年金
個人年金も基本的には生命保険の場合と同じですが、分配方法として、途中解約した後、返戻金を分割するか、残された保険料払い込みを、2人で分割して行い、受給開始になってから受給額を分割するといった方法で財産を分割する方法があります。
学資保険
子どもの学資保険の場合も基本的に生命保険と同様です。
分配方法としては、解約返戻金の分割が考えられますが、子どものために積み立てた保険を解約したくないと考える方もいらっしゃいます。そのような場合、契約者を変更して保険を継続する方法や、分与割合相当の金銭を支払って解決する方法もあります。
ペットはどうするのか
法律上、ペットは「物」としてみなされています。よって、ペットは預金や不動産などと同様、離婚時には財産分与の対象として取り扱われますが、財産分与の対象として考えるとき、さすがに半分ずつというわけにはいきません。
ペットの場合の財産分与の方法としては、引き取りたい側がペットの時価の分与割合分を相手方に支払って譲り受ける方法が考えられますが、ペットの評価額を算定すること自体が難しい場合がほとんどであり、対価を支払わず夫婦の一方が引き取ることが一般的です。
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