離婚届・婚姻届を365日・24時間提出できるワケ

こんにちは、函館の行政書士 小川剛弘です。

突然ですが、役所が離婚届や婚姻届を原則、365日24時間いつでも受け付けしてくれることをご存じですか?

日中は担当の窓口に提出し、夜間や土日、年末年始など役所が閉まっているときは、休日・夜間窓口に提出できます。

ただし、支所や出張所などではそもそも届出を受け付けしていない所も多く、届出をする前に確認をした方が良いでしょう。

では、なぜ、離婚届や婚姻届を365日24時間提出できるのでしょうか?

休日や執務時間外の届出は受領される

まず、離婚届や婚姻届など人の身分に関わる届け出は、戸籍を取り扱っている部署に提出するのが原則です。

そして、戸籍の受付が年中無休というのは、(戸籍事務取扱準則制定標準24条(執務時間外の取扱い)に規定されています。

戸籍事務取扱準則制定標準

(執務時間外の取扱い)

第24条 休日又は執務時間外に戸籍の届出並びに不受理申出及び取下げ(以下この条において「届出等」という。)があったときは、これを受領しなければならない。

つまり、休日や執務時間外に離婚届や婚姻届などが提出されたら、受領しなければならないとされています。

離婚届や婚姻届が365日24時間提出可能な理由

それではなぜ戸籍の受付が24時間営業なのでしょうか?

仮に、離婚届や婚姻届を平日の執務時間にしか提出できないとすると、困ったことが起きる可能性があります。

たとえば、妻に財産を渡したくなくて、一刻も早く離婚したいと考えている夫がいたとしましょう。離婚届はすでに書き終わっていて、あとは提出するだけなのだが、あいにく、今日は土曜日だったような場合、月曜日に提出しようとしている間に、夫が亡くなってしまうと、妻は相続人として夫の財産を承継できることになってしまいます。妻にしたらありがたい事態かもしれませんが、財産を渡したくない夫にしてみれば、大変不本意なことになってしまいます。

婚姻届の場合も考え方は同じです。

また、現在、女性には再婚禁止期間(令和6年4月1日廃止予定)というものがあり、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日間は再婚を禁止されています。

しかし、この場合も、たとえば、平日の窓口が開いている時間しか離婚届を提出できないとすると、

再婚を希望する女性はいつまでも離婚届を提出することができず、その結果、再婚もずっと先のことになってしまう可能性があります。

このように、身分に関することや、相続や財産に関する権利関係は日々変化する可能性があるため、離婚届や婚姻届の提出を平日の窓口業務時間帯に限ってしまうと、大きな弊害が発生してしまう可能性があるのです。

そのため、役所は、離婚届や婚姻届の提出を365日24時間可能としているのです。

受領から受理されて効力発生

役所に365日24時間離婚届や婚姻届を提出できることはとてもありがたいことではありますが、窓口業務時間以外に夜間窓口などに提出したことをもって、権利関係が変わるわけではありません。

この段階、夜間窓口詰めの職員や守衛さんに届出を提出して受け取ってもらったことを、

「受領」といいます。

しかし、この「受領」の段階で身分関係や権利義務が変わるわけではありあません。

後日、届出を審査して記載に問題や不備がなければ、晴れて「受理」されて、「受領された日」に遡って効力が発生することになります。

そのため、内容等に不備や問題があった場合、再度訂正したり書き直しをして提出しなければならず、受理日と受領日がズレてしまう可能性があるので注意が必要です。