離婚届の証人には誰がなる?見つからない場合はどうすれば良い?

こんにちは、函館の行政書士 小川剛弘です。

離婚を考えている方で、離婚届の証人を誰に頼もうか悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。

また、離婚の証人になってくれるよう頼まれたけど、何か責任のようなものが生じるのではないかと気になる方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、離婚届の証人には誰がなれるのか、そして、証人になった場合の責任や証人が見つからない場合どうすれば良いのかなどをお話していきたいと思います。

協議離婚には離婚届を提出するときに証人が必要

夫婦が話し合いによって離婚する場合、いわゆる「協議離婚」の場合、離婚届を提出し、受理されると離婚が成立しますが、この離婚届には、証人と呼ばれる夫婦が離婚に合意している旨を証明する者の署名捺印が必要です。

民法の規定では、協議上の離婚では、2人以上の証人による署名した書面による届け出が必要と定められています。

民法764条

協議上の離婚は、戸籍法の定めるところによりこれを届け出ることによって、その効力を生ずる。前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上から、口頭又は署名した書面で、これをしなければならない。

なぜ離婚届に証人が必要なのか?

では、なぜ離婚届に証人が必要とされているのでしょうか?

理由1 虚偽離婚を防止するため

たとえば、夫婦の一方が離婚を希望してももう一方が離婚したくないと思っていた場合、離婚したい方の配偶者が、勝手に離婚届を提出してしまうということが考えられます。

離婚届は、夫婦が揃って提出することを要請されておらず、離婚を希望する側が、勝手に離婚届を書いて一人で役所に提出してしまうことも可能です。

また、離婚届の提出時に役所が離婚の意思を夫婦に確認することもありません。

離婚届に記載等の不備がなければ、受理されて離婚成立です。

そのため、「提出された離婚届は当事者が離婚の意思をもって作成されたものである」ということを証明するために第三者による証明が必要になります。この第三者を証人といい、離婚届には、証人による署名と捺印を必要としています。

理由2 安易な気持ちで離婚させないため

離婚は、夫婦当事者の関係を終わらせるだけではなく、子どもやそれまで付き合いのあった親戚、兄弟姉妹にも少なからず影響を与えることになります。また、当事者が一時的に感情的になり、深く考えもしないで離婚届を提出してしまい、のちのち後悔してしまうこともあります。

そのため、証人に、届出人の離婚意思を確認し、証明するという重要な役割を与えることによって、届出人が安易に離婚届を提出してしまうことを防ごうという効果が期待できます。

離婚届の証人になれる人

では、離婚届の証人はどのような人がなれるのでしょうか?

  • 18歳以上であること

離婚届の証人は18歳以上であれば誰でもなることが可能です。一般的には、親や兄弟姉妹、友人がなることが多いです。

また、18歳以上であれば夫婦の子どもがなることもできます。

  • 当事者以外の2人以上が必要

    離婚届の証人は当事者以外の18歳以上の者2人が必要です。2人といっても、夫と妻それぞれから1名ずつ選ばなければならないわけではありません。

    そのため、たとえば妻の両親に証人になってもらっても差し支えありません。

    • 外国籍の者でも可

      証人は、前記の条件を満たしていれば誰でも良く、外国籍の者も証人となることができます。

      ただし、外国籍の人に証人を依頼することを勧めていない自治体もあります。

      また外国人を証人とする場合に、提出書類や記入方法に注意すべき点があるため、希望する場合には、離婚届を提出予定の自治体にご確認ください。

      離婚の証人になると責任を負うことがあるのか?

      離婚届の証人の責任は「当事者の離婚意思を確認し、その意思を証明する」ということにあり、離婚そのものに関して何らの法律的な責任を負うものではありません。

      いちいち、当事者の離婚に責任を負わせてしまったら、誰も証人になろうとは思わなくなってしまうでしょう。

      ただし、離婚届自体が虚偽であったり、夫婦のどちらか一方が片方の合意を得ず勝手に作成した離婚届の証人になった場合は有印私文書偽造罪(刑法159条1項)の罪に問われる可能性があります。

      また、偽造した離婚届を提出しまったら偽造私文書行使罪(刑法161条1項)に問われる可能性があります。

      さらに、戸籍に虚偽の記載をさせることになるので、公正証書原本不実記載罪(刑法157条1項)に問われる可能性があります。

      離婚届の証人が見つからない場合

      上記のように、犯罪に加担したとみなされない限り、離婚届の証人が法的な責任を負うことはありません。しかし、公の文書に署名するという責任感や、離婚そのものを快く思っていないなどの理由から、離婚届に署名することに抵抗がある方もいらっしゃいます。

      また、離婚の原因や経緯、人間関係によっては、周りに離婚のことを知られたくないという場合もあります。

      離婚届の証人になってくれそうな人が見つからない場合はどうすれば良いのでしょうか。

      離婚届証人代行サービスの利用

      最近は離婚届の証人代行サービスというものがあります。費用はかかりますが、検討してみるのも良いかもしれません。

      行政書士に依頼して証人になってもらう

      協議離婚の場合、離婚協議書や離婚公正証書作成のために、行政書士に依頼している方がいらっしゃいます。

      このような場合、行政書士に証人になってもらうこともできます。

      また、離婚届の証人だけを行政書士に依頼することも可能です。

      当事務所では、離婚届証人の代行も承っておりますので、お気軽に問い合わせください。

      まとめ

      協議離婚においては、離婚届を提出して離婚が成立しますが、離婚届には2名の証人が署名捺印して提出することを要します。

      離婚届の証人に特別な責任が生じることはありませんが、当事者が偽装離婚などをするために離婚届を提出すれば、刑法犯に問われる危険性がるので注意が必要です。

      離婚届の証人は、18歳以上であれば、誰でもなることができますが、離婚届の証人になってくれる人が見つからない場合は、証人代行サービスや行政書士に依頼してみると良いでしょう。

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