別れた配偶者の住所を調べる方法はあるか?

離婚後、養育費慰謝料の支払いが滞ったという理由で元配偶者と連絡を取ろうとしても、電話もメールも通じず、どこに引っ越したのかも不明。そのうえ、仕事も辞められていては簡単に連絡を取ることはできません。さらに、相手の家族や友人などに聞くこともできないとなれば、打つ手なしのように感じますが、こういった場合でも相手の住所を調べる方法はあります。

「住民票」または「戸籍の附票」を取得する

相手の現住所を調べるには、「住民票」か「戸籍の附票(ふひょう)」を取得しましょう。

住民票は、引っ越しなどで住所地が変わると「住民票の除票」となり、市区町村役場に保存(※)されます。住民票の除票には、転出先の住所や、転出した年月日が記載されています。このため、住民票の除票を取得することで、現在の住所地にたどり着くことができます。

(※)令和元年6月20日から、住民基本台帳法の一部が改正され、住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間がそれまでの5年間から150年間へと大幅に変更されました。

また、戸籍の附票は、本籍地が変わらない限り、すべての移転先の住所が記載されているので、本籍地がわかっていれば、戸籍の附票を取得する方が手っ取り早いこともあります。戸籍の附票は本籍地の市区町村役場で入手することができます。

元配偶者でも住民票や戸籍の附票の取得は可能か?

しかしここで、現在は赤の他人である元の配偶者の住民票や戸籍の附票を取得できるのか?と疑問に思われるでしょう。

住民票の取得

住民票は原則、同一世帯に暮らしている者でなければ取得できないため、すでに離婚してしまった場合は取得できません。ただし、正当な理由があれば取得が認められるケースもあります。

たとえば、養育費が不払いで、その請求がしたいのであれば、過去に婚姻関係があったことを示す戸籍謄本、養育費の支払いが滞っていることがわかる預金通帳の写しなどを準備します。そして請求事由の欄には、「養育費請求の調停を申し立てるため」などの理由を明記しましょう。

しかし、何が「正当な理由」に当たるのかについては、役所ごとの判断になるので、役所に相談し、正当な理由に当たり請求可能ならば、どのような書類が必要なのかを確認しましょう。

戸籍の附票の取得

離婚後に元配偶者の住民票を所得するには、正当な理由が必要になるなどハードルが高いため、次に説明する「戸籍の附票」を取得する方が相手の住所を調べやすくなります。ただ、戸籍の附票の取得についても、相手が本籍地を変えてしまっていれば取得が難しくなります。

相手が本籍地を変えていない場合

戸籍の附票は、すでに自身が相手の戸籍から抜けていたとしても、除籍者(戸籍から除かれた者)も自分本人の戸籍として取得が可能です。そして、相手が離婚後、本籍地を変えていなければ、戸籍の附票から相手の現住所を調べることが可能です。

ここをもう少し詳しく説明すると、例えば、離婚前の世帯が(夫、妻、子)の3人(世帯主は夫)であった場合、夫婦が離婚すると妻は除籍され、夫と子が戸籍に残ります。ただ、除籍された妻も「除籍された人」として戸籍に残ります。この場合、元妻も自分本人として元夫の戸籍の附票を取得することができます。

相手が本籍地を変えている場合

離婚後、相手が本籍を変えてしまっていれば、戸籍の附票を取得することはできません。ただし、元夫婦の間に子供がいて、子供の戸籍が相手の戸籍に残っていれば、子供本人の戸籍として取得が可能です(相手が養育費を負担する方なら、不払いなどのトラブルを想定して、あえて相手の戸籍に残しておく方もいます。)。

また、子供の戸籍を自分の戸籍に移している場合でも、子供が未成年者であれば、自分が子供の法定代理人として相手の戸籍を取得することができる可能性があります。

戸籍の附票の請求は、住民票の請求のように、取得するための根拠や理由を示す必要がない分、取得は容易です。

限界もある

しかし、住民票の場合、正当な理由を示したとしても、市区町村役場が認めなければ取得はできません。

また、戸籍の附票も相手が再婚しているなどの理由で本籍地を変更していれば、取得できない場合もあることなど、個人では限界があることも知っておきましょう。

元配偶者からDVやストーカー行為を受けていた場合には、自治体などの支援制度を利用することで、住民票や戸籍の取得・閲覧にも制限をかけることができることができるため、元配偶者だから無条件に取得できるとは限りません。

【参考記事】「離婚後、DVの元配偶者から住所を追跡されないためには?」

弁護士や行政書士など第三者請求によって取得する

戸籍法では、弁護士や行政書士などの専門家が「業務を遂行するために必要がある場合」には戸籍謄本等を請求することができると規定されています。そのため、場合によってはこれらの専門家に依頼すると良いかもしれません。しかし、弁護士や行政書士でも「正当な理由」がなければ請求は認められません。

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