離婚後、DVの元配偶者から住所を追跡されないためには?

こんにちは、函館の行政書士 小川剛弘です。
元配偶者からのDVが原因で離婚をしたけれど、その後も執拗にストーカー行為を受けていたり、DVや児童虐待などの怖れがある場合,住所を絶対に知られたくないと考えるのは当然のことです。では、こういった問題のある元配偶者の追跡をかわすには、具体的にどのような方法があるのでしょうか?
離婚しても戸籍は入手できる!
離婚をすると、元夫婦は別々の戸籍になってしまい、赤の他人になってしまうので、こういった「第三者」が元夫・元妻の戸籍謄本を取得することはできないように思えますが、実際はほとんどの場合に入手することが可能です。特に、「正当な理由が認められる場合」であるなら、ほぼ間違いなく入手することは可能です。
「第三者」が戸籍謄本などを入手できる正当な理由
①自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合
②国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合
③職務上の理由(弁護士、司法書士、行政書士 社会保険労務士など)
戸籍を取得するにはこういった理由が必要で、単に相手が今どこに住んでいるのか知りたいだけというような理由では認められません。ほとんどのケースで、正当な理由の証明を求められますが、正当な理由があることを証明できれば問題ありません。
また、ほぼ無条件で戸籍謄本を請求可能なのは、次の者です。
①戸籍に記載された本人
②本人の配偶者
③本人の直系尊属(親や祖父母など自分より上の世代)
④本人の直系卑属(子や孫など自分より下の世代)
離婚すると、元夫婦は赤の他人ですが、戸籍に記載が残っていれば本人として請求できます。また、親子関係であれば戸籍に記載が無くても無条件に請求できる場合があります。
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子どもと一緒に暮らす場合には注意が必要
親子関係があれば戸籍は簡単に取得できてしまうことから、離婚後子どもと一緒に住む場合には、特に注意が必要です。上記の理由で、直系尊属(親、祖父母など)は戸籍や戸籍の附票を請求できるからです。父親の立場を利用して戸籍や戸籍の附票を入手すると,そこから住所が明らかになってしまう可能性があります。
支援制度の利用を考えてみる
このような心配がある場合には、「住民基本台帳事務におけるDV等支援措置」という国の支援制度があり、申し出ることにより、支援措置が必要かどうかを確認後、必要と判断されれば支援措置を受けられることになります。
支援措置の内容
この支援措置の内容が具体的にどのようなものかというと、住民票の写しの交付や住民基本台帳の一部の写しの閲覧、戸籍の附票など、入手されれば住所が分かってしまう資料の閲覧を制限することができます。それによって、DVの元配偶者が申出者の住所を追跡することができなくなります。
(函館市の場合:DV・ストーカー等被害者のための証明書交付制限について)
支援措置を受けるためには?
支援措置を受けるためには、警察や配偶者暴力相談支援センター(函館市の場合:函館市配偶者暴力相談支援センター等)に相談して、支援措置を受けることが相当であるという意見をもらう必要があります。
そのうえで、住民票のある市区町村や戸籍の附票のある市区町村等に、この相談機関の意見を記載した「住民基本台帳事務における支援措置申出書」を提出することで、支援措置を講じてもらうことが可能となります。
支援期間
支援期間は、支援開始の日から1年間です。また、期限到来の1ヵ月前から支援期間の延長の申出を受け付けます。
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